厚生労働白書②「地域包括ケアシステム」について
厚生労働省が9月16日に公表した「厚生労働白書」ですが、 スマイリオブログでは、「厚生労働白書」の福祉・介護に関するテーマについて、複数回にわたり解説いたします。
第2回目の今回は、地域包括ケアシステムについて、 国民が安心できる持続可能な介護の実現という視点から言及した白書の記載をまとめています。
この記事を読むべき人は?
厚生労働省の高齢者に対する取り組みに興味がある方
地域の高齢者を支える仕組みに興味のある方
■地域包括ケアシステムとは
2000年に社会全体で高齢者介護を支える仕組みとして創設された介護保険制度は、2022年で23年目を迎えました。
介護サービスの利用者は、在宅サービスを中心に増加し、介護保険制度は着実に社会に定着してきています。
今後高齢化がさらに進行し、「団塊の世代」全員が75歳以上になる2025年、 日本では5.5人に一人が75歳以上となり、首都圏を始めとする都市部では急速に高齢化が進むと推計されています。
このような社会構造の変化や高齢者のニーズに応えるために目指されているのが、 「地域包括ケアシステム」の構築です。
「地域包括ケアシステム」とは、 地域の事情に応じて高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域で、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、 医療・介護・介護予防・住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制のことを言います。
高齢化進行のスピードや、地域資源の状況は、各地域によって異なるため、 それぞれの地域に応じた地域包括ケアシステムを構築することが求められています。
今回は、地域包括ケアシステム構築の為、白書が提言する3つの対策をご紹介します。
■地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組み
①介護予防・健康づくりの推進
介護予防とは、高齢者が要介護状態になることを予防する、もしくは要介護状態等の軽減・悪化の防止を目的として行うものです。
高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチが重要という観点から、地域の介護予防の拠点となる「通いの場」と呼ばれる場所の充実など、 地域づくりを市町村が中心となり推進しています。
厚生労働省は、通いの場の好事例紹介や、企業・団体・自治体等における介護予防・高齢者生活支援に関する 優れた活動に対し、奨励・普及を目的とした表彰を行っています。
※「通いの場」の詳細に関しては、厚生労働省の下記サイトをご確認ください
(https://kayoinoba.mhlw.go.jp/)
②保険者機能の強化
介護保険制度の持続可能性を維持するために、保険者である市町村の保険者機能を強化、高齢者の自立支援・重度化防止に向け、 以下3つの仕組みを制度化しています。
(1)データに基づく課題分析と対応
(2)適切な指標による実績評価
(3)取組実績に応じた市町村・都道府県に対する財政的インセンティブの付与
③医療・介護の連携と推進
高齢者の増加に伴い、医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者の増加が見込まれることから、 在宅医療・介護を一体的に提供できる体制の構築と連携が必要となっています。
2018年4月には、「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナルケア」等の機能と、 「生活施設」としての機能を兼ね備えた新たな介護保険施設を「介護医療院」として創設し、 2021年12月末では662施設(40,383療養床)が介護医療院と指定されています。
※詳細は『厚生労働白書』p.348~p.351(第2部 第7章 第4節 第1項~第2項「2022(令和4)年度診療報酬改定」)をご確認ください
資料はこちら(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/21/index.html)
■地域包括支援センターとは
地域包括支援センターは、地域の高齢者に対する総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、 高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とし、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関として市町村が設置しています。
下記厚生労働省のサイトでは、各都道府県の地域包括センターがまとめられていますので、是非参考にしてください。 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)
スマイリオでは今後も、介護業界に関わるニュースを発信して参りますので、 引き続きのご愛読を宜しくお願いいたします。